農耕舎通信

魚沼農耕舎の魚沼産コシヒカリ【米作りは八十八手 今の作業を伝えます。】

魚沼農耕舎の魚沼産コシヒカリ【米作りは八十八手 今の作業を伝えます。】浸種~出芽機準備(つきあかり) 編

米作りは八十八手と呼ばれるほど手間がかかります。豪雪地帯の魚沼では、一年に一作の為、この季節にしか行わない作業があるのが大きな特徴です。

3月も下旬に差し掛かり、どんどん溶けてはきているものの田んぼにはまだ、1m以上雪がありますが、稲づくりは着々と進んでおります。

農協さんに温湯消毒してもらった、種もみが届きました。

温湯消毒

温湯消毒というのは、種もみを入れた袋を60度の温湯の中に入れて、30分間浸します。農薬に頼らず、種もみに付着した病原体を消毒できる方法です。農薬を使わず苗を病気から防ぐ、より安心安全な方法です。

温湯消毒後の種もみ

この種もみを今度は浸種します。

浸種

浸種というのは、眠った種を起こして、発芽を揃えるために行う作業です。

浸種はこのように、袋に入った種もみを水槽の中に入れます。種もみにしっかりと水を吸わせることで、発芽がきれいにそろうようになります。

常時、12度になるように加温しながら水を循環します。循環することによって、水槽の上部と下部の温度が、すべて同じになるように工夫されています。

袋の色が違うのは、品種ごとに色を変えているから。違う品種の種もみと絶対に混ざらないように、気を付けています。

浸種の期間は、1週間ちょっと。専門的には、積算温度100度日以上。

積算温度というのは、聞きなれない言葉ですが、簡単に言うと、毎日の平均気温を合算したものです。

今回は積算温度が100度日以上必要ですので、100度日÷水温12度=8.33日間という計算になります。

近年、出穂後にフェーンなどの高温にあうことが、増えています。こういった種もみは、休眠が深いことがわかってきました。

休眠が深いとは、なかなか芽が出ないという意味です。

特にコシヒカリは休眠が深くなりやすい品種なので、120度日ほどの期間を確保します。

この浸種は、種もみの中のデンプンを分解してブドウ糖にすること。この糖が、芽の元になる新しい細胞を作るエネルギーになります。また、分解が活発になってくると、種もみはたくさん呼吸をして酸素を取り入れます。

そのため、酸素を含んだ新鮮な空気を、循環している水に取り込んでいます。ね。泡でぶくぶくしているでしょ。

さらに、2・3日おきに新鮮な水と交換します。

 

十分、水を吸って一回り大きくなり、あめ色に変わったら、次の催芽という工程に進みます。